【プロの技】第45回日本盆栽大観展・大町功氏の真柏デモンストレーションを徹底解説!継ぎ木と改作の極意

【プロの技】第45回日本盆栽大観展・大町功氏の真柏デモンストレーションを徹底解説!継ぎ木と改作の極意 盆栽展示会動画

盆栽界の最高峰の一つ「日本盆栽大観展」。その第45回開催時、多くの愛好家を釘付けにしたのが、東北・岩手の名匠、大町功(おおまち いさお)氏による真柏(シンパク)のデモンストレーションです。

「東北真柏」という野性味溢れる素材を使い、いかにして洗練された一鉢へと昇華させていくのか。そこには、数十年先を見据えた「継ぎ木」の技術と、樹の魂を読み解く「改作」のドラマがありました。

今回は、盆栽の買取・プロ査定を行う岳盆栽の視点から、このデモンストレーションの内容を深く掘り下げ、真柏盆栽の価値を高めるポイントについて詳しく解説します。


1. 東北真柏と糸魚川真柏の融合:究極の「継ぎ木」戦略

デモンストレーションの冒頭、まず驚かされるのは、この樹が「東北真柏」のミキに「糸魚川真柏」の葉を継いでいる点です。

東北真柏の特徴と魅力

大町氏の拠点でもある東北地方に自生する真柏は、厳しい寒さに耐えるための力強い幹肌と、豪快な舎利(シャリ)が特徴です。しかし、一方で葉がやや長く、色が黄色みを帯びやすいという性質を持っています。盆栽として「締まった姿」を維持するには、葉の性質が課題となることがあります。

糸魚川真柏を継ぐ理由

そこで行われるのが、新潟県糸魚川産の真柏の葉を継ぐ手法です。糸魚川真柏は葉が細かく、鮮やかな緑色を保ち、持ち込んでも垂れにくいという最高の性質を持っています。

大町氏は、このデモの約2年前から準備を進めていました。

  • 呼び継ぎ(よびつぎ): ポットに入れた糸魚川真柏の枝を、本体の東北真柏に接合させる手法です。
  • メリット: 根が付いた状態で接ぐため成功率が高く、接合後の成長が非常に早いのが特徴です。

「1+1を5にも10にもする」という言葉通り、東北真柏の豪快な骨格に、糸魚川真柏の繊細な美しさを纏わせる。このハイブリッドな手法こそが、現代の最高級盆栽を生み出す鍵となっています。


2. 「正面」を決める:樹との対話と一瞬の決断

盆栽の改作において、最も重要であり、最も難しいのが「正面(しょうめん)」の決定です。大町氏のアシスタントを務めた井浦氏が、観客に意見を求めながら樹を360度回転させるシーンは、盆栽制作の醍醐味を感じさせます。

立ち上がりと根張りのチェック

正面を決める基準は、以下のポイントに集約されます。

  • 立ち上がり(足元): 樹が土から立ち上がる部分の力強さ。
  • 舎利と水吸いのコントラスト: 白い枯死部(舎利)と、生命を運ぶ赤い生きた部分(水吸い)が最も美しく見える角度。
  • 奥行きと流れ: 樹が前かがみに(お辞儀をするように)迫ってくる角度。

今回の樹は、後ろから見ても力強い姿をしていましたが、最終的には「最も幹の太さが強調され、粘り強く見える角度」が選ばれました。少し角度を上げて植え替える想定をすることで、全体の流れがより明快になりました。


3. 骨格を作る:太い銅線による「荒掛け」の技術

正面が決まると、いよいよ針金による成形作業に入ります。ここで使用されるのは、最も太い部類に入る「8番線」の銅線です。

なぜ銅線なのか?

盆栽にはアルミ線と銅線が使われますが、真柏のような松柏類(しょうはくるい)には、一度固まると戻りにくい銅線が多用されます。

  • コツ: 枝の太さに合わせた号数を選ぶこと。「効かなければ意味がない」という言葉通り、確実に曲げるためのパワーと、樹を傷つけない繊細さの両立が求められます。

ラフィアによる保護

極端に曲げる箇所には、あらかじめ「ラフィア(ヤシの繊維)」などの保護材が巻かれます。これにより、枝がバキッと折れるのを防ぎ、繊維をガードしながら曲げることが可能になります。


4. 彫刻としての盆栽:舎利(シャリ)と神(ジン)の加工

真柏盆栽の真髄は「死と生の共生」にあります。大町氏は、特殊な機械(ルーター)を使い、幹の一部を削り取って舎利を作る実演を行いました。

木目に沿って削る

舎利を削る際の絶対条件は「木目(もくめ)に沿うこと」です。

  • 理由: 木目に逆らって削ると、後でボロボロと剥がれ落ち、不自然な姿になってしまいます。自然の中で風雪に耐えた姿を再現するには、樹自身の繊維の流れを読み解かなければなりません。

水吸いを分ける

太い幹がのっぺりと見えてしまう箇所には、あえて彫刻を施して水吸いを2本に分けるような演出をします。これにより、樹に「古さ」と「険しさ」が加わり、200年、300年という歳月を物語る風格が生まれます。


5. 仕上げとアフターケア:10年先を見据えた「スタート」

デモンストレーションの最後、大町氏は「これが完成ではなく、スタートである」と強調しました。

  • 輪郭の形成: 枝を広げ、日光が内部まで届くように配置します。
  • 持ち込み: ここから毎年手入れを繰り返し、7年、10年と経つことで、枝に厚みが加わり、展覧会に出品できるレベルの「完成」へと近づきます。
  • 石灰硫黄合剤の塗布: 削った舎利の部分には、防腐効果とお化粧の効果を兼ねた石灰硫黄合剤を塗ります。これにより、舎利が白く浮き立ち、真柏特有の神々しい姿が完成します。

6. あなたの真柏盆栽、その価値を正しく評価します

今回のデモンストレーションで示された通り、真柏盆栽は「素材の良さ」だけでなく、後天的な「技術(継ぎ木、改作、持ち込み)」によって、その価値が数倍、数十倍に跳ね上がる世界です。

しかし、残念ながら一般的なリサイクルショップや知識のない買取業者では、こうした「継ぎ木の価値」や「名匠の手による改作の形跡」を見抜くことができません。

盆栽の手入れ

岳盆栽(Gak Bonsai)では、代表の勝村自らが、樹の歴史、技術の粋、そして将来性を一点一点丁寧に査定いたします。

  • 「先代から受け継いだ真柏があるが、手入れが難しくなってきた」
  • 「プロが手掛けた貴重な樹なので、価値がわかる人に譲りたい」
  • 「東北真柏や糸魚川真柏など、産地にこだわったコレクションを整理したい」

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ全国出張買取対応の岳盆栽へご相談ください。私たちは、大町氏のような職人が魂を込めて作った盆栽の価値を、次世代へと繋ぐ架け橋となります。


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