時を刻む芸術「エゾ松」の魅力。若手盆栽作家が魅せる、伝統と革新のデモンストレーション

時を刻む芸術「エゾ松」の魅力。若手盆栽作家が魅せる、伝統と革新のデモンストレーション 盆栽展示会動画

盆栽の世界において、北の大地の厳しさを象徴する樹種といえば「エゾ松(蝦夷松)」です。針葉樹特有の繊細な葉と、数百年という歳月を感じさせる古色蒼然とした樹皮。その魅力は、ベテラン愛好家から海外のコレクターまでを虜にし続けています。

先日、京都で開催された「第44回日本盆栽大観展」にて、次世代の盆栽界を担う3人の若手実力派、小林優己氏、佐々木勇星氏、イ・スルギ氏によるエゾ松のデモンストレーションが行われました。

本記事では、プロがエゾ松を扱う際の繊細な技術、樹の「欠点」をどう「個性」へと昇華させるのか、そしてエゾ松ならではの管理の難しさと喜びについて、デモンストレーションの記録をもとに詳しく解説します。


1. 北の巨匠「エゾ松」が持つ圧倒的な時間軸

デモンストレーションに選ばれたエゾ松は、北海道などの寒冷地に自生する樹種です。最大の特徴は、その「成長の遅さ」にあります。

数百年を鉢の中に凝縮する

エゾ松の幹が10ミリ太くなるのに、一体どれほどの時間がかかるでしょうか。小林氏によれば、今回のような存在感のある太さに達するには、100年、200年といった気が遠くなるような年月が必要です。盆栽は「生きている骨董」と呼ばれますが、エゾ松はその言葉を最も象徴する樹種の一つと言えるでしょう。

温暖化とエゾ松の管理

本来、雪深い北国で育つエゾ松にとって、近年の夏の暑さは大きな負担となります。デモンストレーションでは、暑い地域での管理のコツとして「遮光(寒冷紗)」の重要性が語られました。直射日光が強すぎると葉が赤く焼けてしまうため、人の手で適切な環境を作ってあげることが、その価値を維持する鍵となります。


2. プロが実践する「エゾ松改作」の極意

今回のデモンストレーションは、親樹と子樹が一本の根から立ち上がる「相関(そうかん)」という受刑のエゾ松を対象に行われました。

正面の見極めとバランス

まず最初に行われたのが「正面」の決定です。プロはどこに最も美しい「顔」があるかを見極め、親と子のバランスを調整します。今回は、親樹と子樹の間隔をわずかに広げることで、全体に奥行きと広がりを持たせる方針が示されました。

デリケートな「針金かけ」

エゾ松は真柏などに比べ、枝をひねるような作業に非常に敏感です。[06:33] 枝が痛みやすいため、針金をかける際も細心の注意を払います。

  • 一発で決める: 針金を何度もかけ直すと、木が硬くなって負担がかかります。先を見据え、一発で理想の形に固定する「決まり」の良さが求められます。
  • 45度の美学: 針金を巻く角度は45度。これが、人の目で見て最も美しく、かつ樹に負担の少ない黄金律とされています。

葉を守る剪定技術

松の葉は密集しているため、ハサミを入れる際に葉そのものを切ってしまうと、切り口から葉が赤く枯れ込んでしまいます。これを防ぐため、ハサミを斜めに入れ、葉を避けて枝を抜くという、熟練のハサミさばきが必要不可欠です。


3. 欠点を個性に変える:プロの眼識

完璧な樹というものは存在しません。小林氏は、このエゾ松の欠点として「親樹に動き(変化)が少ないこと」を挙げました。

しかし、その欠点を隠すのではなく、枝葉の「棚(たな)」を美しく配置することで、全体の情景としてまとめ上げます。

  • 棚を割る: 枝ごとにきれいに皿を割るように配置することで、野生的な「老木感」を表現します。
  • 頭の流れ: 樹の頂点(樹冠)の流れを統一し、風や時間の流れを感じさせる姿へと導きます。

このように、樹の短所を認めつつ、技術によってそれを「穏やかな表現」へと昇華させるのがプロの仕事です。


4. エゾ松を次世代へ:植え替えとアフターケア

デモンストレーション後、この美しい姿を維持するためには、日々の管理が欠かせません。

植え替えの注意点

エゾ松は根が細いため、乾燥に非常に弱いです。植え替え時に根を乾かしてしまうと、一気に衰弱してしまいます。また、植え替えた年は、通常行われる「芽摘み」などの作業を控え、樹の体力を回復させることを優先します。

四季の作業「芽摘み」

春先に行う芽摘みは、エゾ松の輪郭を維持するために最も重要な作業です。指先で柔らかい新芽を摘み取ることで、枝が太くなりすぎるのを防ぎ、繊細な姿を保つことができます。


5. 岳盆栽が「エゾ松」に込める想い

今回のデモンストレーションに登壇した若手作家たちは、それぞれが名門の門下で修行を積み、お互いを切磋琢磨し合う仲間でもあります。言葉が通じない時期からスマートフォンの翻訳機を使い、3時間かけて長野まで移動した修行時代の思い出など、彼らの絆がこの一本の樹に反映されています。

盆栽は、数世代にわたって受け継がれる「歴史のバトン」です。 岳盆栽では、こうした若手作家たちの情熱と技術をリスペクトし、彼らが心血を注いで育てた、あるいは歴史ある愛好家が大切にしてきたエゾ松のような「価値ある樹」を、正当に評価いたします。

「北海道の峠で見かけた、厳しい自然に耐えるエゾ松の姿を思い出した」 観客席から寄せられたそんな言葉こそ、盆栽が持つ「情景を呼び起こす力」の証です。

もし、あなたがお持ちのエゾ松や大切な盆栽の価値を知りたい、あるいは信頼できる相手に託したいとお考えであれば、ぜひ岳盆栽にご相談ください。私たちは、その樹に刻まれた年月と、育てた方の想いを一目で読み解き、次世代へと繋ぐお手伝いをいたします。


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